「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(案)」の要点をまとめてみた
- kentakk14
- 2024年12月26日
- 読了時間: 4分
初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議(第7回)
12月20日に第7回初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議が開催されました。今回の検討会議では、前回の検討会議で公表された「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(素案)」をもとにしたガイドライン案が出されました。
要点は次の通りです。
ガイドラインの要点
私の解釈は以下の通りです。
1.教職員はリスク対策を講じた上で利活用をする
2.中学生以上は事前教育を徹底した上で利活用をする
3.小学生の利活用に関しては慎重に見極める
1.教職員はリスク対策を講じた上で利活用をする
今回のガイドラインでは教育委員会の対応について言及しており、生成AIの運用を見据えた内容となっています。校務における生成AIの利活用は「有用」と記述されており、今後は利活用が進むと予想されます。
2.中学生以上は事前教育を徹底した上で利活用をする
一方、中学生以上の利活用に関しては、やや慎重な姿勢が伺えます。生成AIの性質やメリット・デメリット、著作権など事前教育が必要で、保護者からの理解を得るなど利活用までのステップは多いです。
ガイドライン(案)に記載されている、児童生徒が学習場面で利活用する際のチェック項目は以下の通りです。
□ 教育活動の目的を達成する観点で効果的であることを確認しているか
□ 児童生徒の発達の段階や情報活用能力の育成状況に十分留意しているか
□ 事前に、生成 AI の性質やメリット・デメリット、情報の真偽を確かめる、自己の判断や考えが重要であることを十分に認識できるような使い方等に関する学習を実施しているか
□ プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力しないよう十分な指導を行っているか
□ 著作権の侵害につながるような使い方をしないよう十分に指導しているか
□ 生成 AI サービスの提供者が定める最新の利用規約を確認・遵守しているか(年齢制限や保護者の同意の必要性、生成物のライセンスの所在など)
□ AI による⽣成物をそのまま自己の成果物として使用することは⾃分のためにならないこと、使用方法によっては不適切⼜は不正な⾏為になることを⼗分に指導しているか。
□ 学習課題に生成 AI の回答を引用している場合、出典・引用を記載することを理解させているか
□ 保護者の経済的負担に⼗分に配慮して⽣成 AI ツールを選択しているか
□ 児童生徒が学校外で生成 AI を利活用する可能性も踏まえ、生成 AI の不適切な利活用が行われないよう、保護者に対し周知し、理解を得ているか
これらの項目をクリアしていくことが求められます。ただし、AIに対するリテラシーを養うことは子どもたちにとって必要です。
ステップは多いですが取り組む価値は十分にあると考えています。
3.小学生の利活用に関しては慎重に見極める
小学生については慎重な対応が求められます。
生成AIの種類によっては年齢制限が設けられているため、使用には適さないものもあります。
安易に取り組ませることのないようにしたいですね。
前述したチェック項目を見ると、小学生にはやや難しい内容が多いです。
こうした難しい概念や仕組みを小学生にどのように伝えていくか考えていかなければなりません。
しかし、一概に禁止という訳ではなく、情報モラル教育の1つとして教師がAIとの対話内容を提示することなどが挙げられており、より丁寧な事前教育を積み重ねていくことが求められています。
海外の動向は?
海外の動向を調べてみると、アメリカの事例においても生成AIについては中学生以上の使用を認めるなど、各国ではChatGPTなどの生成AIサービスの年齢制限に準拠しているようです。また、ユネスコも13歳以上を推奨しています。
ただ、13歳以上になればすぐに生成AIを使えるようになる訳ではありません。
準備段階として小学校で事前教育を実施するという日本のガイドラインの方針は理にかなっており、不可欠なステップであると感じました。
どのような事前教育が適しているか現在は私自身も研究中です。
また報告したいと思います。
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