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ガイドライン改訂の方向性を読み解くー生成AIの利活用に関する検討会議(第5回)配布資料よりー

  • kentakk14
  • 2024年10月28日
  • 読了時間: 5分

ガイドライン改訂に向けた教育現場での生成AI活用のポイントとは?

AI技術は急速に発展し、教育現場でも生成AIの導入が注目されています。生成AIの利用は、授業の効率化や学習サポートなど、あらゆる形で教育活動に役立つ可能性があります。

しかし、同時にハルシネーションや児童の学習を阻害するリスクもあるため、その導入には慎重な判断が求められます。

今回は、文部科学省の「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議(第5回)」の配布資料「ガイドラインの改訂に向けた検討のポイント」をもとに、生成AIの教育活用に向けた最新動向をご紹介します。


 

 1. ガイドラインの位置づけと目的


文部科学省が昨年発表した「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」は、生成AIの活用を一律に禁止または義務化するものではないようです。

学校関係者が生成AIを安全かつ効果的に活用するための指針と判断基準を提供するものとされています。

今後の技術の進展に応じ、ガイドラインは定期的に見直され、より柔軟に適応される予定です。


 2. 生成AI技術の現状とリスク


生成AI技術は飛躍的に進歩しており、難しい資格試験に合格できるほどの知識を持つAIも登場しています。

教育現場では、生成AIによる迅速な情報処理や教材作成の支援が期待されますが、一方で以下のようなリスクにも注意が必要とされています。

 

ハルシネーション:生成AIは時に誤った情報を出力するため、正確な知識を持つ人による確認が必要です。バイアス:データの偏りにより、生成AIの出力にバイアスが含まれる可能性があります。学習の阻害:生成AIに頼りすぎることで、児童生徒の創造力や批判的思考力が低下する恐れがあります。

 

また、生成AIの活用には、個人情報の取り扱いや著作権に関する問題も含まれるため、教育現場における慎重な判断が求められます。


3. 教育現場での生成AI活用にあたってのポイント


人間中心のアプローチ

生成AIはあくまで教育活動をサポートする道具であり、AIの活用そのものを目的とするのではなく、教育目標を達成するための手段として利用することが重要です。

生成AIは教師を補助する役割を担い、教師が児童生徒の学びを導く主導的な存在であり続けるべきとされています。


情報活用能力の育成強化

生成AIを通じて児童生徒の情報活用能力を育成し、情報を正確に活用するための基礎を築くことが大切です。

生成AIを適切に利用するためには、情報リテラシーだけでなく、言語能力や問題解決能力も求められます。

これにより、児童生徒はAIの情報を単に受け取るのではなく、批判的に検討し、学習に活かすことができるようになります。


共通の留意点

生成AIの利用において、特に留意すべき点としては以下のものがあります。1. 安全性を考慮した適正利用:AIを利用する際は法令に準拠し、提供元が意図する範囲での利用が求められます。2. 教育情報セキュリティポリシーの遵守:セキュリティを確保し、不正アクセスや予期せぬ動作を防ぐ方針と対策が必要です。3. 個人情報の保護:生成AIによる誤情報やプライバシー保護の観点から、個人情報の入力には慎重な対応が求められます。4. バイアスの防止:AIによる偏見を避けるため、公平性と多様な視点に配慮することが重要です。


4. 教職員と教育委員会の役割


教職員の業務効率化とスキルアップ

生成AIは、授業準備や採点、児童生徒対応、学校行事の計画など、教職員の業務効率化に大きな役割を果たすとされています。

GIGAスクール構想で蓄積されたデータとAIを連携させることで、さらなる効率化が期待されます。

また、AIを活用する教員のリテラシー向上も重要な課題であり、生成AIの特徴やリスクを理解し、児童生徒に適切な指導ができるよう研修が求められます。


教育委員会の柔軟な対応と情報提供

生成AIの活用に関しては、教育委員会が各学校の状況に応じて柔軟な運用ができるよう、ガイドラインを提供しつつ、学校間でのノウハウ共有や支援を行うことが求められます。

各学校のリテラシー格差を縮小し、安全で適切な生成AIの活用を推進するためにも、地域レベルでの研修や情報共有が望まれるとされています。


ガイドライン改訂の方向性を読み解く


今回の配布文章を読む限り、生成AIを校務利用していく方向にあるように感じました。

生成AIが普及していくと想定して児童の情報活用能力を育むべきです。

そのためには、教師のAIリテラシーを高めていく必要があります。


次回のガイドライン改訂では校務利用の具体例などが示されるのではないかと考えます。

生成AIを教育分野に導入することは、教職員の業務負担を軽減する可能性を秘めていますが、そのリスクに対処するための適切なガイドラインとサポート体制が不可欠です。

そのサポート体制を各自治体の教育委員会に求めていくと考えられます。

 

一方、児童生徒が生成AIを活用することに関しては依然として慎重であると感じます。

以前の検討会議においても子どもがハルシネーションに気づくのが難しいと指摘されていました。

活用ステージ(「生成 AI自体を学ぶ段階」「使い方を学ぶ段階」「各教科の学習や探求的な学習に生かしていく段階」「日常使いする段階」)を意識してスモールステップで生成AI活用に関する教育を進める必要があります。

 

また、配布資料では「小学校段階においても、「生成AI自体を学ぶ段階」に取り組むことは可能である。まずは、情報モラル教育の一環として教師が授業中に生成 AI との対話内容を提示することなどを通じて、基本的な事項を学び、更に生成 AI に関する体験を通じて、生成AIについての冷静な態度を養っていくことが考えられる」と記述されています。


現実問題、学校外で子どもが生成AIを使うことを制限できません。

私たちは小学校段階で実行可能な教育について検討していく必要がありますね。

今後も新たな動向があれば紹介していきたいと思います。

 
 
 

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