生成AIの教育利用に関する考察ー利活用に関する検討会議(第4回)の配布資料よりー
- kentakk14
- 2024年10月19日
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第4回初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議
9月24日に初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議が開かれました。7月25日に第1回が開催されて今回は第4回の検討会議になります。この検討会議に関する配布資料は文部科学省のサイトで閲覧できます。
配布資料の内容を簡単にまとめたので紹介します。
生成AIの利活用に関する検討会議(第4回)の配布資料の概要
1. 「生成AIの教育に及ぼす影響について」 国立情報学研究所 新井 紀子教授
まず、国立情報学研究所の新井紀子教授が作成された資料「生成AIの教育に及ぼす影響について」の内容を簡単に紹介します。
・ハルシネーション問題
生成AIのハルシネーション(誤った情報)が根本的に解決できず、防げないという課題がある。教師がこれに気づくのは非常に難しい。
・ファクトチェックの必要性とシン読解力の育成
生成AIを正しく活用するためには、極めて高度なファクトチェック能力が求められるが、現状の児童生徒の読解力では難しい。
生成AIの利用には、専門用語を理解しながら自己完結的な文書を読み解くシン読解力が不可欠。この能力の向上が学力向上にもつながる。
ChatGPTの最新モデルではよりもっともらしい文章が生成されるため、ハルシネーションに気づきにくくなっているように感じます(新井教授も指摘されています)。生成AIを利用した教師が気づかずに間違いを教えてしまう恐れがあるということです。教師が難しいのであれば子どもたちは尚更です。
ファクトチェックに関して、専門外の領域に関する回答を吟味するのは容易ではなく、AIはそれらしい回答をするため見抜くことがより困難になっています。
例えば、小学校教師は多くの教科を教えるため、自分の知識が乏しい教科が出てくる場合があります。このとき、安易にChatGPTに授業プリントを作成させると間違いに気づけない恐れがあります。私も広く浅く理解するために未知の分野についてChatGPTに聞くことがあります。個人的には絶対にしてはいけないとまでは考えていませんが、より慎重にはなるべしですね。
新井紀子教授は教員が生成AIを業務で利用する際は、ファクトチェックができる範囲に限定し、利用シーンを選ぶことが推奨されると述べています。まずは、自分が長けている分野や領域に関する業務から活用していくことが望ましいでしょう。
2. 「つくば市での実践とAI時代の教師の重要性」 つくば市教育委員会教育長 森田 充氏
次はつくば市教育委員会の森田充教育長の資料について紹介します。
・生成AIの教育活用の取り組み
つくば市では、生成AIの普及を念頭に、情報モラルや情報活用能力を育む教育活動を行っており、研修会やリーフレット作成、モデル校での実践共有を進めている。
・授業実践例
生成AIを活用して、生徒たちは国語や英会話の授業に参加している。生成AIの意見を検討する時間を設け、学びを深めるためのサポートを行うことが教師の役割として強調されている。
・教員に求められる役割
教師は、深い学びにつなげるための授業デザインやカリキュラム・マネジメント(どんな「問い」をもたせて、どの場面で、どのようにAIを活用するか)が求められ、
自律的に学ぶ力を育む伴走支援、AIリテラシー教育や発達段階に合わせた支援(AIを活用している場面で、どのような問いかけや支援を行うか)が必要。
また、AIのよさをつかみ、よりよく活用するために、教師の意図的な仕掛けを どのように行うか(課題設定場面、探究・追求場面、振り返り場面)を考えていく必要がある。
特に印象的だったのは教師の役割です。ICTと同じですが、AIはあくまでツールです。私もそうですが、道具を使うことを目的化するのを避けなければいけません。どの場面の使用が効果的か、その場合の有効な支援方法は何かを考えて授業をデザインしていく必要がありますね。
生成AIは日々進歩しているため、その活用方法は多岐に渡ります。私たち日本の教員の腕の見せ所といったところでしょうか。
3. 「これまでの会議での意見」
これまでの会議での意見がまとめられた資料もありました。以下、一部紹介します。
・技術進展と課題
生成AIは大学院生レベルの知識を持ち、司法試験や医師国家試験にも合格できる技術レベルに達しているが、誤情報やバイアス、論理推論の弱点が課題として残る。
・学校現場での課題
生成AIの利活用における理解や導入の格差があり、パイロット校以外の学校ではほとんどAIに触れていない現状がある。費用対効果や導入の意義についても議論が必要とされる。
・利用時のリスクと教育機会
生成AIを子どもが利用する際、答えを安易に求めてしまい学びが浅くなるリスクがある。また、生成AIの適切な活用を教員や管理職が検討し、実施できる環境作りが求められている。
・ガイドラインの必要性
生成AIを安心して教育現場で利用できるように、ガイドラインが明確に整備される必要があり、技術進化に対応した機動的な改訂が強調されている。
指摘されているようにパイロット校とそれ以外の学校で格差が生まれていることは私自身も感じます。資料でも述べられていますが、パイロット校以外の学校ではAIが話題にのぼることも少ないと考えられます。
しかし、AIは日々進歩しており少しずつ普及しています。実際に学校外でAIに触れている子どももいるでしょう。私たち、教員は何もせずにただ待っているだけでしょうか。
私たちがAIリテラシーについて教えるためには、AIを理解しておく必要があります。業務として認められていないのであれば、まずは生成AIを私的利用から始めるだけでも大きな一歩です。
「この週末、暇なんだけど何かおすすめの過ごし方はある?」こんな風に気軽に聞いてみてください。生成AIはあなたの問いかけに対して、丁寧に回答するはずです。ちょっとだけ、試してみませんか?
※個人情報は記入しないようにしましょう。

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